双極性障害(躁うつ病)
過去に「眠らなくても元気である」「些細なことで怒ってしまう」等の躁状態を確認できることが多いですが、うつ病として治療されている患者さんの中にこの疾患が隠れていることがあります。
躁症状があれば躁うつ病と診断するのは簡単ですが、明らかな躁症状がない方もおり、そのような方がうつ病と診断されているケースがみられます。
うつ病と診断されていても以下の症状がある場合、一度は躁うつ病の可能性を考える必要があります。
・気分の波が激しい
・特に年齢が若い方
・抗うつ薬が効かない
・抗うつ薬を使用すると具合が悪くなる
病前の性格傾向としては明朗、社交的、親切、面倒見がよいなどの特徴があります。
治療
薬物治療では気分安定薬を中心に、抗精神病薬を併用します。気分安定薬の中には発疹が出やすい薬、血中濃度を測定する必要がある薬などがあり、しっかりと主治医とコミュニケーションをとりながら治療を進める必要があります。抗うつ薬は病状を長引かせる要因となることがあり、基本的には使用しません。
精神療法では患者さんの病状理解を促し、生活リズムの安定や生活習慣の見直しなどを行います。また、背景に隠れている性格的な特徴、発達障害等に対してのケアが必要となることもあります。
再発が多いので、病状が安定した後も予防が大事となります。薬物治療だけでなく、一人ひとりの生活背景に応じたアプローチを考えていきます。